皆さんの体を動かすためのエネルギーとは何かご存じですか?そしてそれを供給する機構が存在することも知っていますか?
私はスポーツトレーナーとして活動していて、エネルギー供給機構を意識してトレーニングすることが多くあります。
今回は3つのエネルギー供給機構の解説をしていきます。
生体内で使われるエネルギーとは?
生体内で使われるエネルギーは【ATP】といわれる物質です。
ATPを分解してADPにするときにエネルギーが生み出され、筋肉が収縮します。
エネルギー供給機構とは
エネルギー供給機構とは、分解されたADPをATPに再合成する機構のことです。
供給機構は3種類存在し、それぞれ「供給スピード」・「供給量」・「元となる物質」が異なります。そのため運動強度や運動時間によって主として利用される供給機構が異なります。ですがそれぞれが独立して働くのではなく、主となる供給機構を切り替えながらすべての供給機構が関与します。
ATP-CP系
ATPを最も早く供給できるのがATP-CP系のメカニズムです。高強度運動時には筋肉中にあるATPが使われます。ですが筋肉中に蓄えられるATPは少量であり、すぐに枯渇してしまいます。そこで筋肉中にあるクレアチンリン酸(PCr)という物質を分解し、ATPを再合し産生します。(ADP+PCr⇔ATP+Cr)
しかし、クレアチンリン酸の蓄えられる量も少量なため、8~10秒程度しか供給できません。そのため100M走やウエイトリフティングなどの高強度短時間運動を主として利用されます。
分解されたエネルギーの貯蔵は、時間の経過とともに運動前の状態に戻ります。30秒程度で約70%に回復し、2~5分でほぼ完全に回復します。
解糖系(乳酸系)
解糖系は酸素を利用せずグリコーゲン(ブドウ糖)をピルビン酸という物質に分解する過程でATPを産生します。その過程の代謝産物として、乳酸が形成されるため乳酸系ともいわれます。
40秒程度の高強度運動で、運動開始の8~10秒以降は解糖系がATP産生に主に貢献します。ですが運動開始直後から解糖系は関与しているという報告があり、ATP-CP系の次に解糖系という段階的な変化ではなく、時点による主要な供給機構と考えるのが正しいです。
筋力トレーニングなどでは2時間で40%・5時間で55%・完全回復に24時間
高強度持久力トレーニングでは10時間で60%・完全回復に48時間
と回復には時間を要します。
有酸素系
有酸素系は低強度運動を持続するのに主要なエネルギー供給機構です。酸素を利用するため有酸素系といわれます。有酸素系のATP産生は筋肉中のミトコンドリアで行われ、解糖系で作られたピルビン酸と脂肪がアセチルCoAという物質に変換され多量なATPが産生されます。
ATPを再合成するのに要する時間は、60~80秒かかります。そのため呼吸数や心拍数が増加し酸素供給を活性化します。
有酸素系はエネルギーの元となる、グリコーゲン・脂質・酸素があればほぼ無限に産生でき、回復に要する時間はありません。
まとめ
ATP-CP系:高強度・0~10秒程度
解糖系:中強度・40秒程度
有酸素系:低強度・60秒~
行う運動によってメインとなる供給機構は変化します。要求される供給機構の能力を高めることでパフォーマンスを向上させることができるため、自身の運動強度や運動時間を把握することも大切かもしれません。


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